歴史の始まりと安土桃山時代
南禅寺八千代の歴史は、安土桃山時代に遡ります。八千代は、当時御所に出入りを許された魚問屋として始まりました。天正十六年(1588年)、豊臣秀吉が京都・聚楽第で盛宴を催した際にも、八千代はご用命を受けたと旧記に残っております。その頃より、八千代は料亭としても暖簾を掲げ、多くの人々に愛される存在となりました。
戦後から現在への歩み
戦後まもなく、八千代は歴史を感じさせる南禅寺で料亭と旅館を営むようになりました。上田秋成や庭師小川治兵衛ゆかりの地である南禅寺は、八千代の新たな舞台となりました。現在も八千代は、京都の粋を守り続け、訪れる人々に日本の伝統と美を提供し続けています。
八千代の「料庭」とは
「料庭」のコンセプト
八千代の庭園レストランは、「料亭」ではなく「料庭」として知られています。「料庭」とは、老舗料亭の京料理と小川治兵衛が手掛けた庭園を思う存分味わっていただける空間のことです。南禅寺名物の湯豆腐や旬の京料理を楽しみながら、小川治兵衛のお庭を眺めることができる贅沢なひとときをお過ごしいただけます。
東山を借景とした青龍庭園
料庭から見える青龍庭園は、東山を借景とした美しい池泉山水式庭園です。この庭園は、平安神宮や無燐庵、円山公園などを作庭した近代造園家「植治」こと小川治兵衛によるものです。庭園内には琵琶湖疎水の豊かな水が巧みに取り入れられ、配置された草花が四季折々の風景を彩ります。庭をゆっくりと眺めれば、市中にいることを忘れ、静寂の時へと誘われます。
多様な座席と四季の表情
八千代では、訪れるたびに異なる表情を見せる多様な座席をご用意しています。南禅寺参道に面したテーブル席や、歌舞伎の寄席に倣った堀こたつ席、ライトアップされた青龍庭園を望む座敷席など、さまざまなシチュエーションでお楽しみいただけます。
こだわりの湯豆腐と京料理
京豆腐の魅力
八千代では、京豆腐と湯豆腐のたれに強いこだわりを持っています。美味しい豆腐作りには、京都の地下水が欠かせません。昔ながらの手法で小さな井戸から汲み上げた水を使い、その日の分しか作らない手作りの豆腐が、京豆腐の美味しさの秘訣です。
特製のだしと湯豆腐のたれ
だし作りでも最も大事なのは水です。毎朝、利尻昆布と共に丁寧に時間をかけて仕上げる「だし」は、八千代の湯豆腐の命です。この特製の「だし」から作る「濃口湯豆腐のたれ」は、毎日八千代の湯豆腐のためだけに仕込まれています。
庭園床席の特別な体験
名庭園との一体空間
南禅寺八千代の特別な魅力の一つが「庭園床席」です。京都の代表的な庭師「植治」による庭園に面した屋外の床席や、枝垂れ桜のあるテラス席で京の四季を感じることができます。八千代ならではの象徴的な名庭園との一体空間で、古き良き景色を大切にしながら、特別なひとときをお楽しみいただけます。
南禅寺八千代は、歴史と伝統、そして自然の美しさを感じさせる場所として、訪れる人々に忘れられない体験を提供し続けています。